AICON  NEWS

Vol.29 (2000.2)

 

今月の発想転換用語

理事長 新井 信裕


国の中小企業政策 ⇒ 地方の中小企業政策


  今回は組合員が最も関心を寄せる中小企業政策に焦点を絞って、新たな方向への発想転換を提言することとします。
中小企業診断士の資格の行方は混沌としていましたが、この間、相当精力的に行なってきた民間の意見具申がほぼ認められ漸く方向が明らかになりました。
  官が教え導く尊大な姿勢を改めるべきとし、「指導」を「支援」に代え、従来の「中小企業指導法」を「中小企業支援法」とし今国会に上程しています。
  この法律はその第一条の目的において新たな中小企業支援政策の基本的方向を二つに絞り、明確にしました。
  第一に経済産業省大臣が中小企業政策審議会の意見を聞いて、国と地方(都道府県・政令指定都市)との中小企業支援政策の役割分担について適切に配慮するよう定めました。 国レベルの支援策は「中小企業総合事業団」が担当し、地方レベルの支援事業は経済産業省令で定める「都道府県中小企業支援センター」及びその下に設けられる広域市区町村の「地域中小企業支援センター」が行なうこととしました。
  従来の国が指導計画を定め、地方に下知して行なう中小企業指導事業の仕組みを「地域の特性にマッチする支援政策」へと転換したのです。
これに伴い、従来の用語を改め「経営管理」を「経営方法」に、「勧告」を「助言」にと中小企業が政策を理解し、活用し易いように衣替えしています。
  第二に、私達中小企業診断士にとって最大関心事でありました中小企業の経営の診断に従事する者の「登録制度」を法律の第11条に明記しました。
  今まで省令により定められていた中小企業診断士を法律で定めることとしたのは、画期的なことで、私達が長い間、待望してきたことでした。
  私達は中小企業が安心して経営支援を受けられるような「中小企業診断士の品質保障」を国が行なうべきであるという意見を一貫して訴えてきましたが、これが全面的に認められたことで誠に喜ばしいことです。
  ただし、これには多くのハードルが課せられ、予てより警句を発してきたように「資格」を「私格」としなければならない条件が新たに省令で決められることになります。
  それは、第11条第1項第1号に定められている、「試験に合格」し、経済産業省令で定める「実務の経験」および「その他の条件に適合する者」という三つの条件です。
  実務の経験とは何を指し、何年間継続となるのかという点にあります。具体的には、経営診断を業とする期間が何年間ということになるでしょう。
  その他の条件としては「公務員に準ずる守秘義務」「中小企業政策への協力度」「経営診断を受けた中小企業の満足度」などが盛り込まれるでしょう。
  従来から、「資格で研修を義務付けるとは」とか「今年の中小企業政策、そんなこと関係ないよ」とか「中小企業診断は可もなく、不可もなく無難な、分厚い報告書が一番」とウソブクようなゴジンには厳しいハードルとなることは間違いないでしょう。

以上


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