AICON  NEWS

Vol.34 (2000.7)

 

今月の発想転換用語

理事長 新井 信裕


サイバー(電脳)社会 ⇒ サイバー・リアル(電脳現実)社会

  「いま、ITを語らない者は、ムラ・ハチブ」とも言うべき時代で、かの方言・失言で有名な総理大臣ですら常用語としてしまい「ツマンナイ」とマスコミが不満をかこっている。
元はといえばサイバーを電脳と翻訳した時、その人は、「まさか現実となるとは」と仮想して人間頭脳に代わる「電気頭脳」を模したのであろう。
  遠い国アメリカの夢物語で、とても現実化などする訳がないと誰もが思ったのである。
ところが、僅か数年でサイバーモール(電脳商店街)が現実のものとなり、「空き店舗問題」で悩む現存商店街と「映像不鮮明」「手に取れない商品」「クレジットカード決済の不正使用」と問題だらけのサイバーモールの繁栄を見るとき、電脳は仮説でなく、現実であることを思い知らさるのである。
  我々コンサルタントの周辺にもそんな事例が目に付く。
経営指標の分析こそ経営診断の真髄と信じ、3次実習でソロバンと計算尺を駆使して「これこそ本物の中小企業診断士の仕事」と誇らしげな名物指導員は見当らなくなった。
モバイルを引っさげ、メールで報告文の相互修正を行なう中小企業診断士の卵は、素直に先輩自称プロのコンサルティング・スキルのレベルを知っていて、ムゲに抵抗しなくてもと人間味を発揮しているのである。
  ますます、現実化して行く情報技術の実用化は通信技術、放送技術とシナジー効果をもたらし、現実の経済社会を根本的に変革する原動力となっている。
かくして、バーチャルは電脳的仮想ではなく、着実に実態経済に根をおろしたインフラとして公認されなければならないタイミングを迎えているのである。
全てを額面通りに受け取れないにしても、アメリカ経済を支えているニューエコノミー論争はその証左の一旦であることを示している。


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