AICON  NEWS

Vol.43 (2001.4)

 

今月の発想転換用語

理事長 新井 信裕

偏  在 ⇒ 遍  在

 ITのもたらしたインパクトを論じる言葉として「デジタルデバイド」と「ユビキタス」(ubiqutious)の二つの対立語が上げられる。
デジタルデバイスはITの対応力格差が新たな所得格差をもたらし、社会問題化すると警鐘を発している。
アメリカにおけるニュービジネスとオールドビジネスの産業間格差がその産業に従事する就業者の所得格差をもたらし、さらに同一職業であっても情報リテラシー(Infomation literacy)の格差が所得格差を生み出すとする。
勝組み産業に入り、隣組み産業人となるためにはITが一番という指摘である。
 だが現実には、創業以来黒字を計上したことのないネット株が将来性という指標だけで瞬時の暴騰と暴落を繰り返し、ウイナーズ・オンリーワン(勝者一人)という実態をみると、所詮は鳴り物入りのバーチャルフィーバー(仮想熱病)と考えたくもなる。
 こんななか、全く逆にユビキタス・コンピューティング社会の到来で知の共有化社会が訪れ、万人皆幸せになるという発想がでてきた。
 もともとはキリスト教の教えに端を発し、神はどこにでもおわしますと同様にITが知識の共有化を通じて社会の発展と経済の効率化によるメリットをもたらすと考える。
 人類は機械を使う産業革命から知識を使う情報化革命の期に入っているという。
人間は色々な宗教の定める戒律を守り、生きることの喜びを得てきた。
ITにより幸せで豊かな人生を送るには、情報リテラシーの戒律を守らなければならない。
 それは情報機器の操作能力、情報の活用力にもう一つの大きな基本的戒律を求める。
そんな基本的戒律とは、個人、組織ともに情報を独占し、占有して隠蔽するようなことを自動的に阻止し、透明性、オープン性を維持できる「情報倫理観」に拠って立つことである。
いわんや、情報の錯乱者、ハッカー等は社会の敵として産業界から抹殺されなければならない。ここに本物のユビキタス・コンピューティング社会が訪れる。

以上


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