ファースト・フード⇒スローフード
最近の物価下落の象徴は「ユニクロ旋風」であり、これに追随するハンバーガー、牛丼の値下げ競争は、スサマジイものがある。
値段を2割下げたら、5割伸びたと報道され、値下げムードはピークに達している。
このコスト軸に時間軸が加わり、フード・サービスの経営は従来の経営スタイルを大きく変容させつつある。
高級レストランであれ、ラーメン店であれ、厨房の加工能力を上限とする範囲内で一定の座席数の回転率をいかに上げるかが繁盛店と衰退店の別れ道となる。
この原則を忠実に遵守するためには「長居無用」と早く食べて、早く帰る客を歓迎するか「ごゆっくりどうぞ」と長居客を歓迎するかのドメインの選択が必要となる。
某大手ファースト・フード店は店内内装、バックミュージュック、店員のイスの出し入れ、頻繁なテーブル拭きなどのマニュアルを備えているという。
なんとなく居心地を悪くして、長居できない雰囲気をさりげなく作り、居座りを図る客に深層心理学から導かれた心理的プレッシャーをかけるという内容のものである。
アメリカ文化に憧れ、アメリカンスタイルを低抗感無く受け入れてきたわが国においては生活スタイルの中にファースト・フード店がビルトインされているともいえよう。この動きに全く反対の新たな方向を探るスローフード店が静かなブームとなりつつある。
そもそも、その源流はイタリー北部にあるという。
私もローマのトスカーナ料理店でそれを体験したことがある。予約を入れて夕刻6時に入り、店を後にするのが12時だった。次から次からへと出てくるオーダーブルを平らげ、酸っぱいワインを含み、いかのリング、スパゲティもこなし、メインディッシュも抵抗感無くこなせた。半日、ひたすら飲んで食ったのである。
2時間千円チョットの飲み放題で、急いで飲むのも、半日かけてユックリやるのも個人の自由な選択で可能である。
1300兆円の預金とは関係なくとも、こんなスローフードも経験の価値ありと勧めたい。不況ムード払拭の一端としての寄与も期待できるかもしれない。
【チョッピリ自己宣伝をお許しください】
今度、同友館から「マネジリアル。コンサルテーション」(経営支援諭)を出しました。
場合によっては、定例研修日に1時間程度の研修会を設け、経営診断の構造的変革を究め、21世紀の中小企業経営支援技術をマスターしてもらったらとも考えています。
以上
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