AICON  NEWS

Vol.49 (2001.10)

 

今月の発想転換用語

理事長 新井 信裕

設備投資⇒無形資産投資

 「景気未だ冴えず(サエズ)という観測はいずれ、景気の3牽引車がフル稼働して活気に満ちた時代が訪れると夢見ている。
 エコノミストが細やかな数字を挙げ、過去のトレンドを分析して、「かくなる」とご宣託アソバサレルものの当たったタメシが無い。 いうまでもないが景気の3牽引車とは公共投資、設備投資、民間消費である。
 「聖域無き骨太改革」「痛みを伴う構造改革」をスローガンとする小泉旋風が吹き荒れる昨今である。
   こんな状況の中、公共投資に期待するのは土建業とそれと癒着する族議員だけであろうことは今や国民的コンセンサスである。
 そこで第二の機関車「設備投資」が期待されるのであるが既存業界について見れば供給過剰の中で設備投資に踏み切る企業は少ない。 
   高度成長期においては労働集約産業から設備投資産業へのシフトが起こり、先行投資によって市場優位を保証されたが、それは過去の幻となった。
 唯一期待されるのが、新マーケットヘの設備投資である。だがこれとて、マーケットがセグメント化され、代替マーケットが瞬時にして設備投資のスクラップを促す。
 こんなハイリスクヘの挑戦は尻込みするのが通例といえよう。
 最後の牽引車、民間消費は「内需拡大」としてわが国の20年近いナショナル・プレゼンスとなっているが「買うものがない」飽和経済では期待薄である。
 そこで最近、設備投資に代えて「無形資産投資」が有望と注目されつつある。その一つとして「買うものが無い」人たちを駆り立てる世界的ブランドそのものを投資対象とする新たな投資行動があげられる。
 銀座にルイビトン、エルメスが大型店舗を展開し、ヴィーナスフォート、郊外型アウトレット・モールに新たなブランドが続々お目見えする。
 さらに、ブランドのみならず、新たなビジネスモデル、デザイン、固有ノウハウなど「オンリーワン」の知的所有権が投資の対象となる。
 この根底にあるのがインテリジェンス(知恵)を活かす労働集約産業への回帰である。
 同じ労働集約ではあるが、過去のそれとは根本的に違うところがある。かつては「額に汗する」多数の肉体労働者量を意味した。今日の労働集約は「頭を使う」少数の知的産業マンの質を意味する。
 その投資対象が「無形資産」であり、これこそ今後の景気の牽引車と期待されるべきものである。

以上


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