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現場のリスク管理 
〜管理責任者からPRTRまで〜 

 

日程 平成11年11月11日(火)  11:00〜14:00
場所 浅草公会堂

 倉本 茂

(株式会社 ハチオウ 八王子工場 工場長) 

 私達が扱っている廃棄物を現場からの実態を通して、リスク管理というものをお話させていただきます。

 ハチオウではいろんな廃棄物を扱っています。収集運搬から中間処理、あるいは現場での環境測定、解体、清掃など環境というのを仕事にしているわけです。先日の過酸化水素の事故や東海村の事故に代表されますように、このぐらいだったら大丈夫だろうということがでてきます。経験を重ねるとレベルが上がって、安全性の限界にまで入ってしまい、本人の分からないうちに危険性に結びつくことが言えるかと思います。

 八王子工場は薬品を使って混ぜたり反応させたりと、普通の中小の化学工場とそんな大差はありません。違うところは、扱う材料の品質が保証されていない、中身が限定されていないということです。したがってそれだけリスクを負いながらやっているわけです。 事故の例を挙げますと、プールに使う殺菌剤で次亜塩素酸カルシウムと塩素化イソシアヌル酸というものがあります。これら2つは性質が酸とアルカリで、一緒に置かないで下さいと表示があるのですが、工場に持ち込まれた時はボロボロの状態でして、知らないで置いておいたら、ある朝来てみたら工場が塩化水素の煙で真っ白になっていたことがありました。また非禁水性の物質は水と接すると加水分解を起こして、いろんなガスを発生する場合があります。これらは腐食性の強い物質でして、例えばドラム缶などに入れておくと穴をあけてこぼれる可能性があります。こぼれると白煙の有毒ガスを発生するというような輸送上のトラブルが発生します。こういう物質は一気に処理できず、少しずつしか出来ません。いったんこぼれると急な対応が出来ない物が結構あるのです。非禁水性ですから発火してても水は絶対に掛けられません。掛けるとさらに悪化します。こういう事故は起こったときに何が起こったのか見分けることが必要です。水を掛けていいのか悪いのかなど、そういう判断が求められます。廃棄物処理にはセオリーはありません。未知な物がたくさんあり、我々はそういうことを認識していなければいけないのです。

 周辺の環境を考えることも重要なポイントです。、事故や災害があった時に廃棄物から環境に悪い影響を及ぼさないようにしています。工場では廃液を通常タンクに保管していますが、事故でこぼれても工場内に溜まるようにプールになっていまして、周りに流出しないようになっています。雨水もプールに流れるようにしてあり、処理後の排水以外は外に出ないようになっています。それから産廃屋として周りから見られる冷たい目がありますから、機会あるごとに訪問したり行事に参加したりと、地域住民とのコミュニケーションに努めています。

 リスクを減らしていくにはやはり情報だと思います。内容が確定できるように出来るだけお客様から情報をもらうことです。なにも全てを分析して欲しいということではなく、何に使ったかという情報が欲しいのです。法的に内容明示義務というのがありますが、実際はそこまでいきません。営業がヒアリング又はサンプリングして、これがきちんと出来ることでリスクは減らせると思います。我々も実際に調べるときに、判別出来る能力というのを高める必要があります。色や臭いや形状などから判断して、そして分析にかけて確定するというのもリスク管理の大きな要素です。

 最近は買ったときから処分するまでのチェック・追跡データとして残すPRTR法が関係してくるようになりました。東京都はパイロット事業として4地区を来年から、全国的に平成13年から施行されます。対象物質が1%以上・100Kg以上で、数え切れないほどある廃棄物の種類の中で、我々のような産廃屋が全部チェックしなければならないとなると、排出側からそのデータをもらわないことには管理できません。今回廃棄物処理業は除外されていますが、PRTR法というのは生態系や生活環境を守ることが前提であり、廃棄物処理もその一環でありますから前向きに取り組んでいこうと考えています。

 

    ディスカッション
細野さん:PRTR法の見通しなど、今後どんな風に進んでいくか。

倉本:初めはモデル地区を決めて、そこから徐々に広げていこうという動き。化学物質を使って物を
    作って、そして廃棄される過程では一般家庭に入るものが大きい。この家庭に入ったものと
  いうのは把握できません。我々のところに来るときは一般家庭を通って来るものもあるわけで、
  ある面では難しいが部分的に捕まえておけば、環境問題に対してある程度の効果があるはずです。

森 
:PRTR法はアメリカのTRIをモデルとしていて、それは公開が原則。企業名・物質名・
  数量など、一般の人がインターネットを通じて見られるようになっている。環境庁が目指して
  いる近いものが見えてくるだろうと思うが、そういうことをすると日本がどれほど混乱を招くか
  分からない。溶剤工業会さんが言うには、そんなことをされたら周りの住民が黙っていない
  だろうと。これは廃棄物業界も同じで、全て公開してもその先がどうなるのか見えないという
  不安がある。

藤井:廃棄物問題がこれだけ騒がれていても、排出者の中には持っていってくれればいいんだ、目の
  前にある廃棄物が無くなればいいんだということがまだまだ多い。何分商売なので、リスクを
  負うが引き取らなければならないケースもあるし、余りにもひどい場合は断るケースもある。
  廃棄物の法律の上で、性状をハッキリさせなければならないと決まっているので、理解して
  もらうようにはしている。

細野さん:法律的には排出側にどういう風に出たか説明する義務がある。

室原さん:廃掃法に契約書の項目として性状・荷姿を書きなさいとありまして、性状という言葉が
  気になって厚生省へ聞いてみたら、廃掃法上内容までは公開する義務は無いと言われた。法律上
  積極的に開示は強く求めていないらしい。通産省の廃棄物処理のガイドラインには、ハッキリと
  内容を開示して処理業者の人に報告しなさいと書いてある。しかしこれは法律になっていない。
  どうもその辺で性状伝達のところがハッキリしていない。

井本さん:マニフェストでは正直言って分からない。他にチェックトリストようなものをこさえて
  情報をつかむことが大きいのでは。

倉本:処理委託仕様書というのがある。しかしそれを出しても種類も多いし、扱う人が管理部門の
  人が多いのでほとんど書けない。特殊な場合、初めての場合はお願いしているが、通常は
  続かない。

井本さん:大部分の廃棄物はマニフェストでOKだと思うが、商売ということを考えて、訳の
  分からない物が出たときにお客様に引き取れないと一概に言い切れない。PCBだと分かって
  いれば、PCBは工事が終わるまでは私共で保管して、工事が終わったら返します、お客様が
  保管するのです、ということを知って工事をしている人間が何人いるのかということと同じ。
  そのチェックリストを使うことによって、PCBはこういう扱いをしなければいけないという
  自社の従業員の教育も兼ねている。むしろお客様よりも。さらにお客様も安心するし、我々業者
  サイドもとりあえず始めて、スパイラルアップすればいい。3年もやればいいものになるはず。
  それで、例えばそれが半分でも当たればいいのでは。そういうことで処理の原価も安くなる
  だろうし、必ずしも100%でなくてもということ。