未来対応型監査

   
 現在の監査役監査の問題点 
1. 近年一流企業に商法違反が多発し、代表訴訟をはじめとして取締役の責任が問われている。
2. 企業の不祥事が発生する都度、商法改正が行われ、監査役の立場と権限が強化されてきたが、法の期待する監査役の本来あるべき効果は出ていないと言われている。
3. 監査役の大半は、報酬も任命も取締役に握られた従属的な立場にいる。
4. 監査基準と手続きが会計監査と異なり確立されておらず、法が求めることが現在の社会の要求とかけ離れている。
5. 現行の監査の考え方は、悪果を探しこれに注目し、また、原因を追求する過去対応型に偏っている。
 未来対応型監査
   
 企業には今、商品(サービス)の質、社員の質、仕事の質以外に企業活動の社会的安全性、良き企業市民としての信頼性、経営の透明性などを確保する仕組みが求められており、それを効果的に運営していることをチェックする監査役の能力向上と監査体制を時代は要求している。また、監査役が実施する業務監査は、経営品質を保証する経営システムを審査する手続きを、その監査基準に取り込む必要がある。更に言えば、変えられない過去の出来事を主に対象とする現行の監査システムに、問題の発生を未然に防止し、経営の品質の向上に寄与する未来対応型の審査機能を加える必要がある。
1. 社会経済環境に合った新たな監査基準の設定
    
 これからの監査には、適法監査とは別に企業の経営品質を監査し、不祥事の発生を未然に防止出来る、いわゆる未来対応型の監査ができるように明確な監査実施基準と、手続きの設定が必要である。その基礎となる「経営品質監査のフレームワーク」は下表の通りである。

未来対応型監査フローチャート1

未来対応型監査フローチャート2

未来対応型監査フローチャート3 未来対応型監査フローチャート4
1. 経営品質とは商品・サービスの品質、社員の品質、仕事の品質に顧客の満足と業務の効率化を総合したものをいい、利益最優先に偏らず、企業の取り巻く社会に対する社会的責任を含む経営の良さを意味する。
2. 製造物責任(PL)問題や環境汚染、その他の不祥事が起きないように事前にチェックし、監査することにより、社会品質を取り込んだ品質の高い経営を保証するのが社会の求める監査役の役割である。
3. 高い経営品質をもつ企業は、全社員が社会責任を果たそうとする組織である。監査役業務である適法監査と業務監査に加え、「経営品質の監査」を導入すれば「良き企業市民」の育成・指導に監査役が貢献できる。
4. 社会的責任を前提に「企業活動が効果的に運用されているかどうか」を一定の監査基準に基づき、業務の実施過程での監査を重視すれば監査役が経営品質の向上に寄与し、結果として不祥事の発生を未然に防ぐことにつながると考えるのである。
2. 監査に経営品質審査機能を取り入れ、事前監査(未来対応型監査)を重視する

1.

現在の任命権も報酬も経営者に握られた従属的立場から離れ独立性を高めるには現在の会計監査人制度のように会社とは独立した外部の組織に属することが望ましいと考える。
2. 監査役は経営品質を審査できる資格が要求される。
3. 米国の国家経営品質賞の審査基準に、日本式経営の長所を取り入れて日本経営品質賞が1996年に日本にも導入されたが、やがてこの3年か5年の間に米国と同様に、大企業から中小企業、サービス業へと申請企業の数も増えていき、やがては行政、病院および学校へとこの経営品質改善運動が浸透していくと予想される。
4. 日本経営品質賞の考え方を経営に取り入れる企業、又は受賞しょうとする企業は、社内に経営品質を推進する機能(アセッサー担当者、組織)を備える。例えば、アセッサー制度を導入する企業は、社内(外)監査役が、経営品質賞の定める8つの基準とサブカテゴリーに沿って業務改善に取り組む取締役の業務を監査することが期待される。
5. 従って、経営品質の向上に取り組む企業の場合、社内(外)監査役には、アセッサーとしての能力が求められる。

 


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