高校生時代−1 【第三話】:今度こそ念願のホルンへ
★さて高校へ進学して部活はまっすぐ吹奏楽部へ。千葉県のレベルは全国トップクラスで「千葉を制す者は全国を制す」で10年以上も連続して全国大会金賞を取っている。

その中で私の高校のブラスは関東までは行かれないが、隔年で県で金賞をとるくらい。進学校で2年までしか部活ができないこと、指揮者も先生ではなく学生指揮者であることを考えるとかなり健闘していると言って良い。

とりあえず入部希望ノートに記入。氏名、出身中学、希望楽器、楽器経験の有無などを書く。

ホルンの希望者は私を含めて3人。他の2人は関東大会常連の同じ中学で当然即戦力レベルの経験者。2年の先輩が2人いたので募集は2人以上3人以下と微妙なところ。

しかも悪いことにチューバ希望者がいない。私は正直に経験楽器欄にチューバと書いているので当然皆それを知っている。先輩達には折に触れて
「ホルンはハイレベル経験者が2人いるしさぁ」
「チューバやってたんだから、良かったらやらない?」
「人数も定員超えたらコンクールも出られないかも知れないよ」
とボディーブローのようなプレッシャーだが、じっと耐える。

★そして1週間ほど経った頃に新1年生が集められた。「パートを決定したいがチューバがいないので誰か希望者はいないか?」

沈黙が続いた後にもう一度部長の「誰か移って貰わないと困るんだけど」との声が響く。部長は皆に言っているようで私に言っているのをびんびん感じて私は思わず目を伏せる。

先輩からも同輩からもひしひしと感じる無言の圧力。永遠にも感じられる数十秒が過ぎていく。一瞬「変わってしまおうか・・・」との思いが頭をよぎる。しかし、ここでヒヨって高校時代まで回り道をする訳にもいかないと腹をくくって徹底抗戦を決意。

そしてまた永遠に感じる何十秒かが過ぎる頃、やはり希望者が多かったトランペット希望者の内の一人が「チューバへ移ります」と立候補。私は勿論のこと皆にとっても神の声であった。(^_^)

★かくして見事(!)ホルンパートを勝ち取った。ただし初心者の1年のコンクールはホルン定員4名ということで出られなかった。

が、先輩の1人は芸大へ現役で受かった女性。2人の同期は経験者でめちゃうまく、初心者の私が教えてもらう環境としては恵まれていた。
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